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『無月経を乗り越えて妊娠されたマラソンランナー その2』

『無月経を乗り越えて妊娠されたマラソンランナー その2』

無月経を乗り越えて無事に出産された

佐野麗美さんの 記事 続きです。

 

世界陸上での悔しさを取り戻そうと懸命に練習した。

だが、気持ちとは裏腹に、思うような走りができなくなっていった。

12年3月、ロンドン五輪代表の最終選考会を兼ねた名古屋ウィメンズマラソン。

ゴール間近まで2位争いを繰り広げたが、転倒して代表の座を逃した。

右足に力が入らず、左足だけで走っている感覚だった。フォームを整えようと、

筋力トレーニングに励んだが、調子は戻らなかった。

 

14年2月、約7年間所属したダイハツを退社した。ただ、世界陸上で

韓国まで応援に来てくれた地元の群馬県太田市の人たちを思うと、

「まだやめられない」と思った。市民ランナーとして活動することを決め、

東京都北区にある国立スポーツ科学センターに通い、リハビリや練習を始めた。

センターでは月経不順を抱える女子選手を支援していた。母喜美枝さん(57)にも勧められ、

佐野さんはそれまであまり気にしていなかった無月経の治療に向き合うことにした。

 

結婚…妊活か競技生活か揺れる心
女子マラソンの佐野(旧姓中里)麗美選手(29)は2014年春、

東京都北区の国立スポーツ科学センターに通いながら、練習と無月経の治療を始めた。

検査をすると、排卵を促すホルモンや、エストロゲンの値が低かった。担当した産婦人科医の能瀬(のせ)さやかさん(39)は、運動量に見合ったエネルギーを食事で摂取できていないことによる無月経と診断した。無月経は3カ月以上月経がない状態で、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や疲労骨折のリスクが高まるという。

佐野さんの当時の体重は、身長152センチで38キロ。計算した「利用可能エネルギー」の値は20台。エネルギー不足の目安となる30を下回っていた。センターの公認スポーツ栄養士による栄養指導を受け、塗り薬でエストロゲンを補うホルモン療法を始めた。

この年の11月には、母喜美枝さん(57)の勧めで受けた婦人科の検査で卵巣囊腫(のうしゅ)が見つかり、摘出手術を受けた。

栄養指導とホルモン療法も続いた。排卵を促すホルモンの値はやや改善し、月経は数カ月に1回来るようになった。そんな時、新しく設立されたニトリ(本社・札幌市)のランニングチームから声がかかった。

15年春に入部した直後、友人の紹介で後に夫となる清志(きよし)さん(29)と出会い、交際を始めた。まもなく、不規則だった月経がほぼ毎月来るようになった。半年後に結婚した。ただ、どんなに練習を重ねても、世界陸上選手権の時のような走りは戻ってこなかった。

ひどい月経痛に悩まされて受診した産婦人科では、「今の生活を続けていると妊娠は難しい」と言われた。競技を続けるべきか悩んだ。「中途半端な気持ちでやめてとは言えない。子どもはほしいけど、子どものために結婚したわけじゃない」。大学1年まで陸上選手だった清志さんは言った。

それから約1年間、走ることだけに集中したが、結果は出せなかった。走ることがどんどん苦しくなっていった。

「休んで妊活をしよう。今のうちに出産すれば東京五輪を目指せる」。17年3月に開かれる名古屋ウィメンズマラソンを区切りにすると決めた。ロンドン五輪を逃した因縁の大会だった。

 

自分の走り、いつか息子に見せたい
女子マラソンの佐野(旧姓中里)麗美選手(29)は思うような走りができずに苦しんでいた。2017年3月の名古屋ウィメンズマラソンを区切りにし、妊活を始めることにした。

2012年の同じ大会で、ロンドン五輪出場を逃していた。「悔しい思いをした大会でいい走りができたら」。米国で約1カ月半合宿したが、調子が戻らなかった。

大会当日、2キロですでに苦しくなり、5キロ付近では体が右に傾いてフォームが乱れた。沿道から見守る夫清志さん(29)に「もう止まっていいよ」と言われたが、首を横に振り続けた。

「応援してくれたチームや家族のためにもゴールしなきゃ」

完走したものの、39位だった。引退へ気持ちが傾いたが、清志さんは「納得していないでしょ。出産後に復帰して頑張る姿を子どもに見せられたら、また違うマラソン人生になる」と励ました。

約2カ月後、妊娠がわかった。

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