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『患者を生きる 妊娠・出産 男性の妊活(朝日新聞より)』

 家族3人の食卓。いつもの朝が一変したのは自分の責任だ。放送作家の鈴木(すずき)おさむさん(45)には心当たりがあった。

前夜、炊飯器のご飯を食べきった後、内釜を水につけておくのを忘れていた。

 「もう、なんだよー」。妻の大島美幸(おおしまみゆき)さん(37)が声を荒らげた。

お笑いトリオ「森三中」のボケ担当。「女芸人」として体を張って笑いをとる豪快な芸風で知られるが、

家族の前では、きちょうめんな一面もみせる。

朝から険悪な雰囲気になりかけたその時――。

 「ダメー」。そう言いながら、長男・笑福(えふ)くん(2)が割って入った。

抱きつかれて手を取られた妻は、力が抜けたように表情が和らぎ、3人に笑顔が戻った。

 子どもがいることが当たり前になった生活。「幸せだと感じる一方で、怖くもある」。

鈴木さんは、笑福くんを授かるまでに2人が経験したことを時折、思い出す。

 2人の出会いは15年前。若手芸人たちと開いた飲み会の席だった。お酒で盛り上がった勢いで、

初対面の大島さんに「結婚しよう」とプロポーズ。大島さんも「いいっすよ」と応じた。

冗談のような「交際0日結婚」は、大きな話題になった。

 

 いっしょに暮らし始めた当初はぎこちなかったが、少しずつ夫婦の絆は深まっていった。

芸能界で活躍する2人の生活はめまぐるしく、刺激に満ちている。子どものことは特に意識しなかった。

「いつかはできるだろう」。何となくそう考えた。

 

 転機は、結婚6年目のクリスマス。妻に生理が来ないことから妊娠検査薬を試した。

すると、陽性反応が出た。翌日に受けた病院の検査でも妊娠を告げられた。

 初めての子ども。戸惑いはあったものの、このまま出産まで順調にいくと思った。

すぐにお互いの親や仕事仲間に連絡し、喜びを伝えた。

人気者の妻のスケジュールをどう調整するかは悩ましかったが、幸せでいっぱいだった。

ところが、年が明けて健診を受けた妻から涙声で電話があった。「赤ちゃんの心臓が止まってた……

急いで病院に駆けつけると、待合室で人目をはばからずに泣く妻の姿があった。

 

 思ってもみなかった流産。しかし、妻にかけてあげる言葉が見つからない。

「こういうときの男って、なんて無力なんだ」。そう実感した。

 

 数日後、亡くなってしまった赤ちゃんをおなかの中から取り出す手術に立ち会った。

妻は少し落ち着いたように見えたが、沈んだ表情は変わらなかった。

 その翌日。義母が自宅にやってきた。淡々とカレーを作ってふるまい、静かに妻に寄り添った。

それをきっかけに、妻は明るさを取り戻していく。雑誌に連載しているエッセーに「流産のことを書いてみたい」とも言った。

 それから2年後。2010年夏に今度は双子の妊娠がわかった。「もし、まただめだったらどうしよう」。

うれしい半面、不安が頭から離れない。今度は親や仲間にも妊娠したことを知らせず、安定期に入るのを待った。

 何度目かの健診。仕事のためについていけず、そわそわしながら妻からの連絡を待った。だが、いつになっても連絡が来ない。

待ちきれず病院に電話すると、再び流産を告げられた。

 

 あわてて病院に行くと、妻は再び泣いていた。「2回も流産するなんて、自分に何か理由があるんじゃないか」。

もしかしたら、妻も同じように考えているかもしれない。そう思うとたまらなくなった。

 「今度は(世の中に)言いたくない」。妻は、こう打ち明けた。「しばらく子作りは忘れて仕事をやりきってみたい」とも言った。

 下着姿で逆バンジージャンプを飛ぶ、極寒の湖で寒中水泳に挑む、裸同然の姿でオイルでヌルヌルの床を滑る――。

妻は以前にも増して過激なロケに挑み、みんなを笑わせた。そんな姿を見て思った。「芸人として誇らしいし、何より面白い」。

妻を尊敬し、いとおしく思う気持ちが深まっていった。

     ◇

 2度目の流産から2年がたった12年秋のある日、何げない会話の中で、妻が切り出した。

「妊活休業を考えてるんだけど……。この間、妻が仕事をいかに頑張ってきたか。

それは自分がいちばんよく知っている。だから、素直にこう答えることができた。

 「それ、すごくいいじゃん」

朝日新聞の 患者と生きる から 鈴木おさむさん の手記です。

語句を変えない方がいいと思って そのまま引用させていただいております。

鈴木おさむさんは ご存知の通り 森三中の大島美幸さん の旦那さんとしても知られ

『妊活宣言』をされた事でも有名です。

僕も経験ありますが 流産の時に男性として無力感を感じます。

「それ、すごくいいじゃん」 

普通言えそうで言えない言葉なんじゃないかな って思います。

奥さんと向き合ってきたから言える一言

素直に『すごいなあ〜』って感じてしまいます。

 

 

 

 

 

 

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