『卵巣予備能(AFC、AMH)のメリット・デメリット』
https://youtu.be/PylPeMgmQCk
理想的な卵巣予備能検査は、周期間および周期内の変動が少なく再現性があり、高い特異性を示すことです。
代表的な卵巣予備能検査であるAFCとAMHはどちらも良好な予測値を有しています。AFCとAMHの結果が不一致の患者では、AMHの方が卵巣予備能のより良い予測因子であることが示されていますが、実際はどうなんでしょう。
今回のメールは、AFC(胞状卵胞数)とAMHのメリット・デメリットをご説明させていただきます。
①AFC(胞状卵胞数)のメリット・デメリット
AFCは月経中の2-10mmの胞状卵胞数を超音波検査にて測定するだけですので簡単に実施でき、すぐに結果が得られます。(性行経験がない女性では不適切ですが)卵巣の反応不良を予知するためのカットオフ値は3-10とされています。
AFCの欠点は、超音波の性能と超音波検査施行者の技術のばらつきです。
AFCは、クリニック間、クリニック内共にかなりのばらつきが観察されており、AFCとAMHの比較ではAFCの方がばらつきが大きくなっています。
このばらつきはトレーニングの違い、方法論、胞状卵胞を見るための超音波の解像度の違いよって引き起こされる可能性があります。
またAFCはこれから育つ生存卵胞と既に萎縮している非生存卵胞との区別が難しいとされています。
少しでもAFC測定の標準化をすることは大事と考えられていて、AFCの測定するタイミング、測定する卵胞の大きさ、超音波検査施行者の技術とトレーニング方法を検討することが大事です。
3D超音波診断が標準化に有効という論文もでてきていますが、現在のところ、時期尚早でしょう。
様々な要因でAFCは変動することが分かっています。
喫煙AFCの減少と関連している報告(Iliodromitiら. 2014)もありますし、肥満の女性では周期内および周期間のAFC変動が大きいことが指摘されています(Broekmansら. 2006;Broerら. 2009;La Marcaら. 2010)。
最近の報告では、ピルの継続使用、特定の環境的要因でのAFCが影響をうける可能性がありますが、これはAFCに限ったことではなく他の卵巣予備能検査でも同様の可能性があります。
②AMHのメリット・デメリット
AMHの利点は、月経周期内での変動が最小限であるので月経周期を意識せず採血するだけで測定できることです(最近では月経周期のばらつきも指摘されていますが)。
正規分布はしませんが、年齢による基準範囲がわかっていますし、月経発来前の患者や性行経験がない女性に対しても評価できます。また、AMHは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断マーカーとしても議論されています。
またAFCにように超音波の性能や実施医師のスキルに依存しませんので、他院の結果も客観的データとして評価できる点です。
デメリットとしてAMH測定がリアルタイムで実施できない施設がまだ多いため、事前に測定しておかないと卵巣刺激開始時に値を知ることができないことです。
以前は検査測定が不安定であり測定誤差が大きいことがデメリットとして指摘されていましたが、最近では精度感度が改善されてきています。
AFCと同様に、多くの環境的・生物学的要因でAMH値が変動することが分かっています。例えば、避妊薬の継続的な使用、タバコの服用などが報告されています。