女性の肥満・低体重(やせすぎ)
がどれだけ妊活に問題があるのか?
今回は夫婦の体重に注目したデータの妊娠です。
【夫婦の体重(BMI)は妊娠しやすさ(不妊)に影響する?】
≪論文紹介≫
カップルの妊娠前のBMI と妊娠までの時間との関係を探ることを
目的とした妊娠です。
2015年1月1日から2017年12月31日までの対象夫婦の合計2,301,782組
を対象に3ヶ月ごとに連絡をとり一年間追跡をしました。
①妊娠群
(最終月経―質問に答えた日)÷平均月経周期+1
②非妊娠群
(最後にフォローアップされた日―質問に答えた日)÷平均月経周期+1
結果:
低体重、過体重、または肥満は、夫婦の延長と関連していました。
最適BMI値は女性で20.61-23.06kg/m2、
男性で22.69-27.74kg/m2となりました。
夫婦間の両方が正常なBMI値のカップルと比較して、
パートナーの両方が低体重または肥満のカップルでは、
妊娠率がそれぞれ10%、19%低下しました。
正常なBMIの女性と太りすぎの男性の組み合わせは、最大の妊娠率(FOR 1.03;95%CI、1.02-1.03)であり、
肥満の女性と太りすぎの男性の組み合わせは、最も低い妊娠率(FOR 0.70;95%CI、0.65-0.76)となりました。
≪見解≫
この論文は痩せすぎも妊娠しづらいことを示してくれています。
やはり適切な運動習慣、食生活習慣をご夫婦で見直すことが必要なのだと思います。
なぜ、太ると妊娠しづらくなるの?というご質問に対しては、様々な理由があります。
下記にまとめてみました。私たちが医療を行う場合も注意をして介入する部分ですのでご確認ください。
【女性の過体重/肥満】
①卵子の数と量の減少
②女性の視床下部-下垂体-卵巣軸に影響し、不規則な排卵や無排卵
③性的頻度の低下や性的機能障害のために低下
④黄体機能不全
⑤脂肪組織に蓄積された環境毒素
【男性の過体重/肥満】
①射精量、精子数、運動性、量の減少
②精子形成を調節するホルモンレベルの変化
③睾丸の温度上昇
④脂肪組織に蓄積された環境毒素
⑤酸化ストレスレベルの上昇
⑥勃起不全の発生率の上昇
日本肥満学会が定義した基準では、日本人の場合はBMI 25を超えたあたりから、
耐糖能異常
糖尿病
脂質代謝異常症
高脂血症
高血圧
といったいわゆるメタボリックシンドロームと呼ばれるような病気の
発症頻度が高まることが理由のようです。