先日 βHCGについての質問を受けました。
最近ではまだ少数派ですがβHCGを重要視する医院もあるみたいです。
βHCG について
妊娠検査ではhCGの血中または尿中レベル計測して受精卵の有無を示す。
特に、殆どの妊娠検査ではhCGのβサブユニット(βhCG)に特異的な抗体を用いる。
検査で重要なのはhCGがLHやFSHと混乱して擬陽性の出ないことである。
(後者の2つは体内で異なったレベルで存在しているのに対し、hCGは妊娠中を除き無視できるレベルである。)
尿検査は25~100mIU/mlを検出できるクロマトグラフィーの免疫測定法である。
尿はhCGレベルの高い朝の最初の尿でなくてはならない。
もし尿の比重が1.015を越えていた場合、尿は薄める。
血清検査では2~4mlの静脈血を用い、βhCGを5mIU/mlを検出でき、その濃度を定量可能な放射性免疫測定法(RIA)である。
βhCGの定量できることは子宮外妊娠かどうかを見たり、胚細胞腫瘍や栄養膜腫瘍を監視するのに便利である。
胞状奇胎では胚が存在しないのに高濃度のβhCGが産生されるため、妊娠検査で擬陽性を出す。
βHCG は脳腫瘍や精巣腫瘍・絨毛癌などでも一部の希な腫瘍の血清検査で上昇し、これらのがんの腫瘍マーカーとして用いられていますが、妊娠女性でも高くなります。
平成 17 年に、検査上特異性の低い HCG ではなく、βHCG という検査法を追加しております。
βHCG のメーカーから出されている添付文書によると、βHCG の基準値は非妊婦女性で3mIU/ml 以下・男性で 2mIU/ml 以下と記載されております。
妊娠女性では妊娠4週で 1,100、妊娠 9 週では 91,500mIU/ml まで上昇します。
脳腫瘍や精巣腫瘍・絨毛癌などでは、数十万まで上昇することもありますが、
これらのがんの専門医のほとんどは 0.5mIU/ml 以下では腫瘍がない(緩解している)状態と考えています。
これらの腫瘍におけるβHCG の値は診療上は、絶対値よりも時系列の変化をみることが大切です。
変動が見られた場合に画像検査などを追加することになります。
キット等により基準値もことなり、極めて専門家の医師の間だけにしか議論されない問題ですので、精巣腫瘍取り扱い規約においても基準値は記載されず、
変化をみることの重要性が記されています。