『毒消し&毒を中和させる食べ方』
霜降り牛のステーキに脂ののったトロやうなぎ、
バターと卵と生クリームをふんだんに用いたぜいたくなケーキ――。
困ったことに、世間で「おいしい」といわれている食べ物は、
決してからだにはおいしくありません。
というのも、動物性のたんぱく質や脂肪は私たちの体内では消化されにくく、
代謝の過程で老廃物をたくさん残してしまうのです。
さまざまな病気の元は、この老廃物が酸性毒になってしまうことにあります。
それでもやっぱり、肉や魚が食べたい、卵や牛乳はやめられないという人は、
食べ方の法則をきちんと覚えましょう。食べたものを完全燃焼させてくれるような、
消化酵素の働きを持つ食べ物を食べ合わせるのです。
一般的に、陽性で酸性の食べ物には陰性でアルカリ性のものを合わせると、
この燃焼がうまくいきます。昔からある、焼き魚に大根おろし、と言う食べ方がまさにそれです。
また、さしみにはわさびがつきものですが、わさびもたんぱく質を
昇格する酵素や毒消しに働いてくれる殺菌成分を持つ陰性食品です。
ハーブやスパイスが珍重されてきたのは、動物性食品の味をよくするだけでなく、
毒消しの作用を持っていたからにほかなりません。
伝承の組み合わせの智恵にまなびながら、しそやみょうが、山椒などの日本のハーブ、
わさびやしょうが、トウガラシといった日本のスパイスをじょうずに使いこなしてみましょう。
食べ物の毒素や化学物質を抱き込んで体に吸収されるのを防ぎ、
排泄してくれる食物繊維の働きも見逃せません。食物繊維を多く含む野菜や根菜、
海藻、豆類、全粒穀物(未精白)などをつねに献立に組み込んでほしいと思います。
最後にもうひとつ。よく「噛む」ことです。これは動物性食品だけでなく、
すべての食べ物について言えることです。噛むことで出てくる唾液には消化酵素が
いっぱい含まれています。性質もアルカリ性ですので、
食べ物に含まれる酸性成分を中和する手助けもしてくれます。さらに、
唾液には食品添加物や活性酸素を消去するパワーがあります。
唾液の実験でがん細胞が消えたことが話題になりましたから、
記憶に残っている人もいるのではないでしょうか。
消化酵素となる食べ物を組み合わせる。毒消しの作用もあるスパイス&ハーブを添える。
食物繊維の多いものを食べ合わせる。よく噛む。
そして動物性食品の量を歯の数に合わせた割合、つまり、全食品の一割程度におされる。
この五つのルールを守って、からだにやさしいグルメを楽しみましょう。
ただし、体調がすぐれないときは消化力も落ちていますから、
肉や魚を食べない方がからだは喜びます。
江戸時代に始まった土用のうなぎも、うなぎを売らんかな、
のキャッチコピーがそのまま伝わっているだけで、何の根拠もありません。
逆に、暑くてからだがバテているときには、うなぎの脂は重すぎます。
お年よりなどはおなかをこわしてしまいます。
先ほどの五つのルールに加えて、胃腸の調子がよくて元気なときにこそおいしく食べられる、
ということも忘れないでください。