◎性交そのものが着床環境を免疫的に整える
インディアナ大学のキンゼイ研究所で、
精液だけでなく、性行為そのものも免疫システムに
影響を及ぼしているのではないかと考え、
そのことを確かめた研究があります。
30名の女性に、月経サイクル中の月経期、卵胞期、排卵期、黄体期の4回、
唾液を提供してもらい、
唾液中の生殖ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)や
2種類のヘルパーT細胞(Th1、Th2)が放出するサイトカイン(IFN-γ、IL-4)
を測定し、それぞれの値の月経サイクル内の変動と性交との関係を解析したものです。
その結果、
性交のあった女性では、黄体期に妊娠に有利に働く
サイトカインが優勢でしたが、
性交のなかった女性ではみられませんでした。
結果はコンドームの使用の有無に影響を
受けなかったことから、
性交そのものが、月経周期中の免疫反応が妊娠に
有利に働くのかもしれません。
◎精液は妊娠合併症のリスクや胎児の健康にも影響するかもしれない
カップルの性的な関係のあった期間と妊娠後の
子癇前症やSGA(子宮内発育遅延)
との関係をニュージーランドとオーストラリアで
調べた研究があります。
2,507名の初産の妊婦を対象にパートナーと
の性的な関係の期間と子癇前症やSGAの発症との関係を調べたところ、
期間が短いカップルほど子癇前症やSGAの発症リスクが高いことがわかりました。
これは、女性の生殖器官がパートナーの精液に触れる頻度が高くなるほど、
女性の生殖器官が妊娠合併症のリスク低減や子宮内の胎児の成育に有利な状態になる
ことによるのではないかとしています。
性交は「妊娠しやすさ」だけでなく、「妊娠合併症のリスク低減」や
「胎児の成長」にも有利に働くかもしれません。