【慢性子宮内膜炎と着床障害との関係】
最近、慢性子宮内膜炎検査とERA検査をセットでするクリニックが増えています。
これは近年、慢性子宮内膜炎と着床障害との関係が注目されているからです。
慢性子宮内膜炎は、
最近などが感染して子宮内膜の間質への形質細胞の浸潤した状態です。
形質細胞は白血球の一つBリンパ球(B細胞)が成熟したもの。
正常では細菌やウイルスが体内に入ると、Bリンパ球が形質細胞に変化
抗体を作り感染を抑えます。
いつも子宮内膜に炎症が起こる人は細菌感染の可能性が多いので
内膜を調べて形質細胞がたくさんあれば、
細菌感染が原因で内膜が炎症を起こしていることが分かります。
2018年6月から2020年2月まで88人を対象として
①慢性子宮内膜炎なしの33例(非慢性子宮内膜炎群)
②未治療の慢性子宮内膜炎があった19例(慢性子宮内膜炎群)
③慢性子宮内膜炎を認め治療後にERA検査実施した36例(慢性子宮内膜炎治癒群)。
3群に分けた結果:
①非慢性子宮内膜炎群、②慢性子宮内膜炎群、③慢性子宮内膜炎治癒群でERA検査後の初回の個別化胚移植の臨床妊娠率は、
それぞれ77.8%(21/27)、22.2%(4/18)、51.7%(15/29)でした(p<0.001)。
慢性子宮内膜炎の存在は個々の着床の窓に影響を及ぼし、着床した受精卵を遺物として妊娠している
可能性が高いということです。
事前にCD138免疫組織染色を実施し慢性子宮内膜炎なしでERA検査後に初回移植のグループの妊娠率は77.8%でしたが
ERA検査時に未治療の慢性子宮内膜炎があった 初回移植のグループの妊娠率は22.2%と55.6%もの差が生じました。
子宮内膜に炎症があると極端に妊娠率は下がるんですね。
なかなか着床しない方は子宮内膜炎を疑ってみるといいですね。