『甲状腺疾患があると月経異常を起こすのですか?』
軽度の甲状腺異常を伴った患者様から
「治療すると月経異常が治りますか?」
という質問を受けることがあります。
軽症の甲状腺疾患の場合は月経異常と
ほぼ無関係と説明していますが、
根拠となる国内からの論文報告をご紹介させていただきます。
『さまざまな甲状腺疾患(甲状腺機能亢進・低下症)は月経障害つながるのか?』
バセドウ病による甲状腺機能亢進症 586名、
甲状腺機能低下症 111名、
慢性甲状腺炎 558名、
無痛性甲状腺炎 202名、
甲状腺腫瘍 595名の20〜45歳の未治療女性患者を対象に、
過去6ヶ月の続発性無月経、過少月経、過多月経、月経不順などの
有病率を前向きに検討しました。
患者全体では、105人の健常対照者と有病率は変わりませんでした。
重度の甲状腺機能亢進症の患者は、
軽度または中等度の甲状腺機能亢進症の患者(それぞれ0.2%と0.9%)に比べて、
続発性無月経(2.5%)と稀発月経 (3.7%)の有病率が高くなりました。
重度の甲状腺機能低下症の患者は、軽度〜中等度の患者(10.2%)よりも月経障害の有病率が高くなりました(34.8%)。
甲状腺機能障害における月経障害は、これまで考えられていたよりも頻度が低いことがわかりました。