『不妊治療は清熱利水で炎症を抑える』
妊娠は病気ではありませんが、女性にとって
激しい生理変化です。 胎児という自分とは違う
ものを自分の体の中に入れるというところに
母のすごさがあります。
妊娠は免疫に関係しており、免疫を考えると炎症の問題に
なります。 なぜ今の人は妊娠しにくい体質になっているのか?
理由の一つに 普段は落ち着いている細菌やウイルスに感染して
放置していると子宮や卵巣が炎症を起こして妊娠しにくくなります。
また、子宮や卵巣以外の慢性的炎症、例えばアレルギー、歯周病
アトピー性皮膚炎、喘息、リウマチ、蓄膿症なども妊娠や排卵に影響
を与えます。 体の中に長期間炎症があると微熱が出たり、だるく
なることがありますが、妊娠も一つの炎症です。
精子は女性の体にとっては異物ですから、免疫活性が高すぎると排除
されてしまうので体の中の炎症を抑えて行く必要があります。
■ 水毒が炎症を引き起こす
今の患者に炎症が起こりやすい理由を東洋医学的にみると水毒です。
日本は湿気の影響を受けやすい環境である事に加えて、ライフスタイル
の変化で油と甘いものの取りすぎで脾経 と 腎経 が弱くなり
体内の水の代謝が悪くなっています。
この時は 小青竜湯 五苓散 ショウキT-1といった 利水作用のあるものを
用いると良いです。
水は流れにくくなると腐って汚れますが、同様に体の中の水の中の水も流れが
悪くなると痰湿になり、熱が出ます。 この熱は炎症です。
痰湿を取る方法として 不妊では『三焦』という概念が重要です。
三焦は水が流れる働きがあります。
不妊の方は気も血も弱い方が多いです。
足が冷えているのに唇や口は乾燥したり、お腹は冷えているのに首は熱かったりします。
本当に冷えている患者は全身が冷えていますが、部分的に冷える所や熱い所があるのは
水の流れが悪いためにバランスが崩しているからです。
これが三焦の問題です。
漢方では三焦の水がよく流れる温胆湯を使います。
チョコレート嚢胞がある方は防風通聖散で痰を取ります。
ここで要注意なのは、患者は妊娠を目的としているので長期的に下剤を
使うのはあまりいいことではありません。
ある患者は低温期が長くて卵胞が育たず、アトピーがありのぼせから
温清飲を使っていました。 ただ温清飲は黄連解毒湯が入っているので
熱があるけど虚熱なので温清飲をやめて利水の働きがある清心蓮子飲
にして2ヶ月で妊娠されました。