【移植後の夫婦関係を持つべきか? 持たざるべきか?】
妊娠する力に最も影響を及ぼすのは「女性の年齢」
その次が「性交回数」であるとして、これはアメリカの生殖医学会が論文に
提示している事です。
極端な事を言いますと
『毎日性交することで周期あたりの妊娠率が最も高くなる』
という事です
タイミングよく性交渉が妊娠率を上昇する以外にも
妊娠率が高くなる理由は他にあります。
『精液は着床環境を免疫的に整えるスイッチをオンにする』
簡単にいうと
精子が女性の体に入ると、異物として免疫が
働いて、攻撃してしまうという事がありますが
その免疫機能を正常にする
つまり精子を攻撃しなくなるという事です。
オーストラリアとスペイン
の体外受精の移植日前後の性交と妊娠率
を調べた研究がありまして、
アデレード大学の研究グループが
体外受精1343個の胚移植で
移植時期に性交渉をした人としない人で
結果を比較しました。
その結果 移植時期に性交があった方が
妊娠に至った率が高いことがわかりました。
また他に2,204名での調査では、性交があった、もしくは、
精液を注入したカップルのほうが妊娠の確率が23%高かった
ことがわかりました。
移植直後の性交は子宮の収縮を招き、着床の障害になったり、
感染の原因になったりする可能性があることから、
移植後の性交は控えたほうがよいという考え方があります。
ところが、その一方で、射精された精液が子宮や卵管などの女性の
生殖器官に触れることで、女性側の着床環境が免疫的に整うことが
動物実験でわかっています。
そもそも、女性にとって受精卵は「異物」であり、本来は免疫機能が働き、
排除されるのですが、妊娠時には、不思議なことに「異物」を排除しないで、
受け入れるように免疫が働きます。
そして、そのスイッチをオンにする役割が精液にある
動物に対して実験結果はあったのですが
人間においても、精液は女性の生殖器官で着床に有利な免疫的働きを促す
スイッチをオンにするのかもしれません。
文献:
1)Hum Reprod. 2000; 15: 2653⇒ https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11098040/
2)Hum Reprod Update. 2015; 21: 275⇒ https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25281684/