『男性下着の種類と精液所見の関係』
昨今、男性不妊についての研究が進んでおり
最新のデータでは不妊の原因は女性因子が45%
男性因子が55%と男女の不妊原因の構成比が逆転しているという事も言われています。
今回は山口先生の論文シリーズ
『男性の下着の種類と精液所見の関係』
と言う論文を紹介致します。
ボクサータイプ(ゆったりしたタイプ)の下着をつける男性は、
その他のタイプの下着(肌にフィットしたタイプ)をつける男性に比べて
精子濃度や総精子数、総運動精子数が多く、FSH値が低いことが
アメリカで実施された研究で明らかになりました。
ハーバード公衆衛生大学院の研究者らは、
マサチューセッツ総合病院で不妊治療を受けている
女性の男性パートナーを対象に下着のタイプ
(ゆったりしたタイプか肌に密着したタイプ)と
精液所見の関係を調べるべく横断研究を実施しました。
656名の男性に過去3ヶ月間
主にはいていた下着のタイプを回答してもらったところ
345名がボクサータイプのゆったりしたタイプの下着を
311名がボクサータイプイ以外の肌に密着した
タイプの下着をはいていたことがわかりました。
普段からボクサータイプの下着をはいていた男性は
それ以外のタイプの下着をはいていた男性に比べて精子濃度が25%(95% CI=7,31%)
総精子数は17%(95% CI=0, 28)、総運動精子数は33%(95% CI=5,41%)高いことがわかりました。
また、ボクサータイプの下着をはいていた男性はそれ以外の下着をはいていた男性に比べて、FSH値が14%(95% CI=-27,-1%)低いこともわかりました。
この研究で、普段、肌に密着した下着をはいている男性では熱がこもることで精巣の温度が上昇し、精子をつくる働きが低下することで精液所見が悪化し、それに伴いFSH値が上昇する可能性が示されました。
男性の精子の数が減っているという研究報告がなされています。その原因としては、生活環境やさまざまな生活習慣によって精巣の働きが低下しているのではないかと考えられています。
具体的には環境ホルモンや肥満の蔓延、食事の質の低下、精巣温度の上昇などです。
精子をつくる働きは高温に弱いため、同じ姿勢で長時間座ったり、サウナやお風呂に長時間入ったりして、下半身の温度が上昇すると精子をつくる働きが低下することはわかっています。
今回の研究では、下着のタイプ、ゆったりしたタイプか、肌にフィットしたタイプかの影響について、不妊治療を受けているカップルの男性パートナーを対象に調査しました。
お子さんを望む男性、特にパートナーの女性が不妊治療を受けている男性は、ゆったりしたタイプの下着を選ぶのが無難なようです。